私自身が表題の問題を解いた時のプログラムについて解説します。
問題の詳細は「文字列を五十音順に並び替えてみよう(修正版)」(CodeIQ)を参照してください。
あなたはとある名簿管理ツールの開発者で、名前の表示順序を決めるアルゴリズムを任されました。
最も実装が容易なのは文字コード順ですが、国語辞典のように、日本のJIS規格で定められた日本語文字列照合順番、いわゆる五十音順に沿ってほしいとのこと。
ユーザーの利便性を考えるなら、避けては通れそうにありません。
求められるプログラムの前提条件は、以下の通りとなります。
標準入力から、改行区切りでN個の文字列が送られる。Nは10以下、各文字列の長さも10以下とする
文字列は訓令式ローマ字のみで構成されており、半角小文字の英文字のみ使われる
訓令式ローマ字以外の文字(ヘボン式ローマ字特有の表現や、記号や全角文字など)は含まれない
訓令式ローマ字の中で重複が認められる文字について、"i/u/e/o"は「あ」行の「い/う/え/お」、"z"から始める文字は「ざ」行として解釈すること
これらN個の文字列に対し、その読み仮名から日本語文字列照合順番でソートすること
ソート順が同一の文字列を含むような、順序が一意に定まらないパターンは入力に含まれないため考慮しなくともよい
求めたN個のソート済み文字列を、改行区切りで標準出力で返すこと
改めて、本設問におけるローマ字と、ソートの基準となる読みの対応を以下の表で示します(Wikipediaより一部抜粋)
あ い う え お (拗音) あ a i u e o か ka ki ku ke ko kya kyu kyo さ sa si su se so sya syu syo た ta ti tu te to tya tyu tyo な na ni nu ne no nya nyu nyo は ha hi hu he ho hya hyu hyo ま ma mi mu me mo mya myu myo や ya yu yo ら ra ri ru re ro rya ryu ryo わ wa が ga gi gu ge go gya gyu gyo ざ za zi zu ze zo zya zyu zyo だ da de do ば ba bi bu be bo bya byu byo ぱ pa pi pu pe po pya pyu pyo
しゃ sha し shi しゅ shu しょ sho つ tsu ちゃ cha ち chi ちゅ chu ちょ cho ふ fu じゃ ja じ ji じゅ ju じょ jo ぢ di づ du ぢゃ dya ぢゅ dyu ぢょ dyo くゎ kwa ぐゎ gwa を wo
五十音順について、本設問で適用されるルールは以下の通りです。
(Wikipediaより一部抜粋。なお平仮名はローマ字として扱ってください)
1.仮名に対し、次のように置き換える
「ぁ」「ゃ」「っ」などの小書き文字はその基底文字である「あ」「や」「つ」などに置き換える
「が」「ば」などの濁点付き文字はその基底文字である「か」「は」などに置き換える
「ぱ」「ぴ」などの半濁点付き文字はその基底文字である「は」「ひ」などに置き換える
2.上記置き換えて出来た文字列について、文字列の先頭より次の順序で比較して先にあるものが先になるように並び替える。
「あ」「い」「う」「え」「お」「か」「き」「く」「け」「こ」「さ」「し」「す」「せ」「そ」「た」「ち」「つ」「て」「と」「な」「に」「ぬ」「ね」「の」「は」「ひ」「ふ」「へ」「ほ」「ま」「み」「む」「め」「も」「や」「ゆ」「よ」「ら」「り」「る」「れ」「ろ」「わ」「を」「ん」
3.上記で文字列の並び替えを行った後、一致する順位となる文字列は、次のルールで並べる。
清音文字→濁点付き文字→半濁点付き文字
長音符→小書き文字→通常文字
それでは、入力と出力例を示しましょう。 ローマ字を平仮名に置き換えて表すと、「ひよう」「ひょう」「びよう」「ひよこ」という入力に対し、「ひょう」「ひよう」「びよう」「ひよこ」と出力するのが正しいことがわかりますね。
入力 出力(文字コード順・不正解) 出力(五十音順・正解) hiyou
hyou
biyou
hiyoko
biyou
hiyoko
hiyou
hyou
hyou
hiyou
biyou
hiyoko
なお、Pythonで文字コード順でソートするだけなら、次のコードで解決します。
import sys for s in sorted(sys.stdin.read().strip().split('\n')): print(s)
それでは、五十音順でソートするにはどうすればよいでしょうか?
なお、プログラミングに用いる言語は何を用いても構いません。 是非挑戦してみてくださいね。
【問題】
標準入力から、改行区切りでN個の文字列が送られます。
文字列はいずれも訓令式ローマ字のみで構成されています。
これらを、JIS X 4061で定められた日本語文字列照合順番(五十音順)にソートし、そのソート済み文字列を改行区切りで標準出力に返してください。
Rubyで解答しています。
KTABLE = { "a"=>"あ", "i"=>"い", "u"=>"う", "e"=>"え", "o"=>"お", "ka"=>"か", "ki"=>"き", "ku"=>"く", "ke"=>"け", "ko"=>"こ", "sa"=>"さ", "si"=>"し", "su"=>"す", "se"=>"せ", "so"=>"そ", "ta"=>"た", "ti"=>"ち", "tu"=>"つ", "te"=>"て", "to"=>"と", "na"=>"な", "ni"=>"に", "nu"=>"ぬ", "ne"=>"ね", "no"=>"の", "ha"=>"は", "hi"=>"ひ", "hu"=>"ふ", "he"=>"へ", "ho"=>"ほ", "ma"=>"ま", "mi"=>"み", "mu"=>"む", "me"=>"め", "mo"=>"も", "ya"=>"や", "yu"=>"ゆ", "yo"=>"よ", "ra"=>"ら", "ri"=>"り", "ru"=>"る", "re"=>"れ", "ro"=>"ろ", "wa"=>"わ", "wo"=>"を", "n"=>"ん", "ga"=>"が", "gi"=>"ぎ", "gu"=>"ぐ", "ge"=>"げ", "go"=>"ご", "za"=>"ざ", "zi"=>"じ", "zu"=>"ず", "ze"=>"ぜ", "zo"=>"ぞ", "da"=>"だ", "de"=>"で", "do"=>"ど", "ba"=>"ば", "bi"=>"び", "bu"=>"ぶ", "be"=>"べ", "bo"=>"ぼ", "pa"=>"ぱ", "pi"=>"ぴ", "pu"=>"ぷ", "pe"=>"ぺ", "po"=>"ぽ", "kya"=>"きゃ", "kyu"=>"きゅ", "kyo"=>"きょ", "sya"=>"しゃ", "syu"=>"しゅ", "syo"=>"しょ", "tya"=>"ちゃ", "tyu"=>"ちゅ", "tyo"=>"ちょ", "nya"=>"にゃ", "nyu"=>"にゅ", "nyo"=>"にょ", "hya"=>"ひゃ", "hyu"=>"ひゅ", "hyo"=>"ひょ", "mya"=>"みゃ", "myu"=>"みゅ", "myo"=>"みょ", "rya"=>"りゃ", "ryu"=>"りゅ", "ryo"=>"りょ", "gya"=>"ぎゃ", "gyu"=>"ぎゅ", "gyo"=>"ぎょ", "zya"=>"じゃ", "zyu"=>"じゅ", "zyo"=>"じょ", "bya"=>"びゃ", "byu"=>"びゅ", "byo"=>"びょ", "pya"=>"ぴゃ", "pyu"=>"ぴゅ", "pyo"=>"ぴょ", "sha"=>"しゃ", "shi"=>"し", "shu"=>"しゅ", "sho"=>"しょ", "tsu"=>"つ", "cha"=>"ちゃ", "chi"=>"ち", "chu"=>"ちゅ", "cho"=>"ちょ", "fu"=>"ふ", "ja"=>"じゃ", "ji"=>"じ", "ju"=>"じゅ", "jo"=>"じょ", "di"=>"ぢ", "du"=>"づ", "dya"=>"ぢゃ", "dyu"=>"ぢゅ", "dyo"=>"ぢょ", "kwa"=>"くゎ", "gwa"=>"ぐゎ", } DAKUON = { "が"=>"か","ぎ"=>"き","ぐ"=>"く","げ"=>"け","ご"=>"こ", "ざ"=>"さ","じ"=>"し","ず"=>"す","ぜ"=>"せ","ぞ"=>"そ", "だ"=>"た","ぢ"=>"ち","づ"=>"つ","で"=>"て","ど"=>"と", "ば"=>"は","び"=>"ひ","ぶ"=>"ふ","べ"=>"へ","ぼ"=>"ほ", "ぱ"=>"は","ぴ"=>"ひ","ぷ"=>"ふ","ぺ"=>"へ","ぽ"=>"ほ", } KOGAKI = { "っ"=>"つ", "ゃ"=>"や", "ゅ"=>"ゆ", "ょ"=>"よ", } class StrData attr_reader :org, :kana, :kitei, :dakuon def initialize(line) @org = line @kana = transKana(@org) @kitei, @dakuon = toPattern(@kana) end def transKana(line) chars = line.split("") ret = "" buf = "" for i in 0...chars.size case chars[i] when "a", "i", "u", "e", "o" then buf += chars[i] ret += KTABLE[buf] buf = "" when "n" then case chars[i+1] when "a", "i", "u", "e", "o", "y" then buf += chars[i] else buf += chars[i] ret += KTABLE[buf] buf = "" end else if buf[0] == chars[i] then ret += "っ" else buf += chars[i] end end end return ret end def toPattern(kana) kitei = "" # 基底文字だけにした文字列 dakuon = "" # 小書き文字だけを基底文字にした文字列 kana.chars{|c| if DAKUON[c] != nil then kitei += DAKUON[c] dakuon += c elsif KOGAKI[c] != nil then kitei += KOGAKI[c] dakuon += KOGAKI[c] else kitei += c dakuon += c end } return [kitei, dakuon] end def compare(target) if @kitei != target.kitei then return @kitei <=> target.kitei end if @dakuon != target.dakuon then return @dakuon <=> target.dakuon end return @kana <=> target.kana end def printMember p [@org, @kana, @kitei, @dakuon] end end def toStrDataArray(input) ret = [] for line in input ret << StrData.new(line) end return ret end # DEBUG def printNInput(ninput) for d in ninput d.printMember() end end def printResult(ninput) sorted = ninput.sort{|a, b| a.compare(b)} for n in sorted puts n.org end end # main input = [] # 入力値の配列 ninput = [] # 入力値をかなにした配列 while line = gets line.strip! if line.empty? then next end input << line end ninput = toStrDataArray(input) printResult(ninput)
難しくはありませんが面倒臭いです。
ひょっとしたら面倒くさくない方法があるかもしれませんが私にはわかりませんでした。
この問題は説明が不親切です。例えば「ぁ(小書き文字の『あ』)」のことがソートの仕様に記述されていますが、ローマ字には規定がありません。また長音記号はuの様に文字の上に横棒を引くことになっていますが、(おそらく)テストケースとして使用される文字(ASCII)では入力されません。私はこれらは無視することにしましたが、それで正解でした。
ローマ字を平仮名に直してしまい、それを仕様に従ってソートするだけです。
ただし、これはUTF-8で扱えることを前提としているからできることで、Rubyでも文字コードがSJISの場合やC/C++の場合は平仮名ではなく数値に変換する方が楽です。
金将を振った時に進めるマス数のパターンを列挙します。
単純に金将が4つあって、1枚につき[0,1,5,10,20]のパターンがあるので全組み合わせを列挙し、重複を削除すれば良いだけです。
全部裏の場合は8と特殊な扱いになっていますが、他にも8の場合があるので0として扱ってしまいます。逆にコマが盤から落ちた場合など進めるマス数が0になる場合をこれでカバーしてしまいます。
ソート用に変換した文字列を保持するためのクラスです。
メンバ変数はそれぞれ次の役割になっています。
org | 元のローマ字 |
---|---|
kana | 平仮名に変換した文字列 |
kitei | 基底文字だけの平仮名に変換した文字列 |
dakuon | 小書き文字は基底文字、濁音と半濁音はそのままにした文字列 |
コンストラクタではそれぞれのメンバ変数をセットします。
ローマ字を平仮名に変換します。
日本語は基本的に母音がつくのでローマ字を先頭から1文字ずつ解釈し、母音が出た場合にそこまでを一区切りとして平仮名に変換することができます。
例外の一つはnの場合で、な行なのか「ん」なのかを判断する必要があります。これはnの次に"a", "i", "u", "e", "o", "y"がくるかどうかで判断します。
もう一つが小さい「つ」の場合で、これは子音が2つ連続した場合になりますので、これも判断します。
処理としてはローマ字の文字を1文字取り出し(64〜86行目)、bufにとります(65行目)。次の文字を取り出して母音ならそこまでを平仮名に変換します(66〜69行目)。取り出した文字がnの場合、次の文字を見て"a", "i", "u", "e", "o", "y"ならbufにとり、そうでなければ「ん」なので平仮名に変換します(70〜77行目)。それ以外の場合で子音が連続している場合は「っ」が入るので結果に「っ」を付加し、そのアルファベットは無視します。何でもない場合はbufにアルファベットを加えます。
平仮名に変換した文字列から基底文字だけの文字列と小書き文字だけを基底文字にした文字列(濁音、半濁音はそのままにする)を作ります。
これは定数DAKUON、KOGAKIが変換テーブルになっているのでそれを利用して変換するだけです。
仕様に従って比較する関数です。
仕様通りにkitei(基底文字同士)を比較し、違えば大小を返します。
同じならdakuon(小書き文字だけを基底文字にしたもの)を比較し、違えば大小を返します。
それも同じならkana(ローマ字を平仮名に直したもの)を比較して大小を返します。
入力値を一つずつStrDataのインスタンスにし、配列にして返します。
StrDataのインスタンスの配列をソートし、StrData#orgをソート順に印字します。
ソートはStrData#compare()に従うのでソート順はStrData#compare()を参照してください。
この問題は出題ミスがあって再掲載されました。
私はミスのあった時に仕様通りのもの(このコードと同じだが、コメントに仕様通りであることを注釈しておいた)と、テストケースに合わせたものの2パターンを提出していたのでこの問題の提出はコピーして注釈コメントを消すだけでした。