私自身が表題の問題を解いた時のプログラムについて解説します。
問題の詳細は「小数を分数q/pに近似しよう」(CodeIQ)を参照してください。
問題を引用します。
- 標準入力から、小数(有効桁数が51、小数点以下桁数が50、0.1以上10未満)が与えられます。
- 与えられた小数を分数で、出来るだけ近似誤差が少なくなるよう近似します。
- ただし分子と分母とはいずれも自然数であり、6桁以下とします。
- 求めた分子と分母を、分子 分母の順に、スペース区切りで出力してください。
C言語で解答しています。
#include <stdio.h> /** * 連分数展開 * a[IN] 各段階の分数の分母のリスト * count[IN] 何段階まで処理するか * den[OUT] 分母 * num[OUT] 分子 * 戻り値 0:aに処理するだけの値がない * 1:処理され、分母分子ともに6桁以内であった * 2:処理され、分母か分子が6桁以上であった */ int calcDenNum(unsigned int* a, int count, unsigned int* den, unsigned int* num){ if(count < 1){ return 0; } int i=0; unsigned int p=a[count]; // 分母 unsigned int q=1; // 分子 for(i=count-1; i>0; i--){ int np = a[i] * p + q; int nq = p; p = np; q = nq; } *num = a[0] * p + q; *den = p; // 7桁以上になった if((*den/1000000 >= 1) || (*num/1000000 >= 1)){ return 2; } return 1; } /** * 少数を分数にする * org[IN] 小数 * den[OUT] 分母 * num[OUT] 分子 **/ void getRat(double org, unsigned int* den, unsigned int* num){ unsigned int a[32]; int i=0; unsigned int pow = 1; double b = org; // 整数部分 a[0] = (unsigned int)org; // 連分数展開 for(i=1; i<sizeof(a)/sizeof(int); i++){ int ret = 0; // 分母、分子の計算結果の妥当性 unsigned int p,q; // 現在の分母、分子 b = 1/(b - (unsigned int)(b)); a[i] = (unsigned int)b; if(a[i] == 0){ break; } ret = calcDenNum(a, i, &p, &q); if(ret == 1){ *den = p; *num = q; } else if(ret == 2){ break; } // Debug // printf("%d: %lf %u, den=%u num=%u\n",i, b, a[i], *den, *num); pow *= 10; } return; } int main(int argc, char* argv[]){ char str[64] = {0}; while( fgets(str, sizeof(str), stdin) != NULL ){ double org = 0; // 入力されたの数 sscanf(str, "%lf", &org); unsigned int n=0; unsigned int d=0; getRat(org, &d, &n); printf("%u %u", n, d); } return 0; }
この問題は少数を連分数を使って近似するという問題です。
実際、この手順をそのままコード化しています。getRat()が連分数展開を行い、calcDenNum()でその連分数をq/pの形に直します。
この問題は★★★ですが実際結構難しいと思います。
まず、変数の説明をします。引数には元の小数の値と分母、分子を返すためのポインタを受け取ります。
a[]は連分数展開した時の各段階の分母を保持するためのバッファです。a[0]には元の値の整数部分(3.256なら3)を保持します。
bは連分数展開するために各段階の分母の値を計算するための一時領域です。
powは最初桁を管理するために使おうと思って用意したけれど結局使わなくて消し忘れた変数なので無視してください。
60〜61行目でi段階目の分母を決定します。
i=0は元の値の整数部分なのでi=1から始めます。
例えば3.256ならi=1の時に1/(3.256-3)=3.90625になります。そしてa[1]=3です。i=2の時は1/(3.90625-3)=1.1034482786207なのでa[2]=1です。これを繰り返して各段階の分母を決定します。
分母が1段階決定するごとにcalcDenNum()でq/pの形にし、仕様(分母、分子ともに6桁以下)に収まっているかをチェックし、それ以上展開できないか桁数が6桁を超えた時点で処理を終了します。
なぜ、6桁になった時点で終了ではないかというと、値によってはもう一回(以上)計算してもまだ6桁ということがあり得るので超えた時点でやめるという処理にしています。そのため、72〜73行目の処理では分母、分子の値を更新せず前回の値のままで処理をやめます。
63行目のブレーク条件は元の値を綺麗に分数で表せた場合に成立します。
a[]で渡された分母のリストからq/p形式に計算します。最も最後に展開されたところから計算しなければならないのでa[]の後ろから計算します。
呼び出し元でのブレーク条件をチェックするため、分母、分子が7桁以上になった場合とそれ以外で戻り値を変えています。
この問題のロジック自体は高校の数学でやったことなのですぐにイメージできました(やり方は忘れていたので調べましたが)。ただ、コードにするのは結構苦労しました。コードだけ考えていると頭が混乱してきます。こういう時は結局紙に書いて整理するのが一番早いと思います。